金子みすゞ「大漁」

今回は金子みすゞの紹介をする。

私は金子みすゞが大好きで、彼女の生き様は賞賛に値する。

夫と離婚した後、当初は娘は要らないと言って居たのに意見を翻し、娘を渡せと金子みすゞに迫る。そしてついに、娘を連れて行くという旨の連絡が来る。法律上、こうなっては娘を渡す他無かったが、金子みすゞは「心の豊かな子になってほしい」という願望を貫き通すため、命を絶って夫の行為を拒絶した。「夫が与えられるのはお金だけ。心の糧は与えられない」と遺書には記されていたようだ。

なんという美しさだろう。

保育ママの言った「日本死ね」

現代日本では、少し気に入らないことがあればすぐに他人に責任転嫁し、罵詈雑言を言う。「保育所落ちた日本死ね」などその最たる例だ。

私も日本死ねと言った彼女の言い分を原典で調べたが、まあ愚かなことだ。彼女はこう言う。

普通に言ったのでは誰にも届かない。だから敢えて死ねという言葉を使ったんだ

誰にも届かないのはその文章が薄っぺらいからか、腹を括って訴えていないかのどちらかだ。その薄っぺらい文章を、大の大人が「死ね」を使うという強烈さ(これは言動と年齢の対照さから生ずる)でメッキを張ったにすぎない。金子みすゞの文章を見てみよ。幼稚園生にもわかる言葉で物事の根幹を我々に問いかける。誰にでも届く。そして金子みすゞの心が澄んでいることがわかる。澄んだ心を見て嬉しくなる。

金子みすゞの問い掛けはあのような野蛮なものではない。根本的な問いをしていて、だれも不快に思わない。ひとえに心の清らかさによるのだろう。

一方、「日本死ね」などとしか言えない語彙力、常に自分中心、そんな文章を見ればだれだって不快になる。そんなことでは大多数から賛同を得られることはできない。自分と同じ考えで、自分と同じ程度の人間だけがそうだそうだと賛同する。心の底が見える。

極論、「日本死ね」と言っている彼女らは他人のために命を投げられるのか?仮に自分が切腹すれば、社会改革が起きて幼稚園が十分に作られるとしたら、彼女らは切腹できるのか?なんの責任も負わず、腹をくくることもせず、ただただ毎日流されるように生きて、そして気に食わないことがあればなんの対処もせずに文句を言っているだけではないか?確かに幼稚園の数が足りないのは問題かもしれない。しかし、この腐りきった人間の心もまた大問題だ。

私は他人のために命をなげすてよと言いたいのではない。武士道は確かに美しいが、現代にはそぐわない。そうではなく、「今の状況になっている要因の一つに自分がある」ということを自覚し、腹をくくってこの問題を解決する意思が必要だと言っている。

金子みすゞの詩

話が逸れた。
金子みすゞは美しい人間だ。詩も美しい。

これから、私が最も感銘を受けた詩を紹介する。

大漁

朝焼小焼だ

大漁だ

大羽鰯の

大漁だ。

浜は祭りの

ようだけど
海のなかでは

何万の

鰯のとむらい

するだろう。

素晴らしい。みじかな行為の中に潜む根源的な問い掛け。命の重さ。それを鮮やかに描き出している点が本当に美しい。

我々は日々他者を殺して生きている。生きている行為それ自体が他者を殺す行為だ。アリを踏み潰して歩いているし、魚は食べる分以上に殺す。鳥や豚は狭い場所で密集して生かされている。そして殺される。環境汚染で多くの生き物を殺している。

だが、日頃それを忘れている。本来殺す行為はありふれて居たのに、それは一極管理され、人間ではなく機械が殺す日々。そして我々はスーパーに並んだ死体、いや、加工されて死体と判別できない肉を買い、食らう。人間は命を尊ぶということを忘れた。

そのくせイヌやネコが死んでいるとかわいそうと言う。動物愛護団体なるものが現れ、動物を殺すことは良くないと言う。大量発生した鹿は殺しているのに。日々漁で魚が死んでいるのに。それなのに、犬や猫の安楽死は認めない。

やっていることが滅茶苦茶だ。命に価値があると定義するのなら、バラモン教のように一切殺さない人生を全人類に強制すべきだ。

命に価値がないなら、すべての行為を認めるべきだ。
普段食う牛はかわいそうだと思わないのに、犬や猫をみてかわいそうだ動物殺すなと言うのは支離滅裂である。

犬の命に価値はあるのに、ノミの命に価値はないのか?結局命の価値は、人間の都合を考えたもの。それを理解せず、何も考えずに生きている「大衆」。

その大衆が考えるきっかけを与えてくれる。
こころの濁った私が書いた。




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ABOUTこの記事をかいた人

・東京理科大理工学部数学科一年の大越英叶。 ・みんなからは親しみを込めて「えいとさん」とよばれる。 ・読書、哲学、数学、クラシックがだいすき。 ・世の中は無常だということを最近理解し始めた。 ・好きな分野:哲学.倫理学.物理学.数学.神学.神話.タロット.C言語.文学.古典.その他 ・苦手な分野:歴史.芸能.地理.時事.ファッション.芸術.アニメ.漫画.経済.その他